中国衛生事情
平成15年12月於大阪 日航ホテル
ガラス越しに日本人出行者を見ながら
禁止薬物使用の事例が跡を断たず、検疫所でも最近非常に神経質になり、10%の抜き取り検査などと言われ、事実上中国食品の輸入は中断している。
小売マーケットでも、「中国製」と表示されるとひるんでしまう消費者が多く、市場に於いても人気が落ち切っている。
ミスタードーナッツのTBHQ問題以前にも事例は多かった筈なのだが、日本の検疫が甘過ぎたに違いない。
今、中国の衛生事情は、オリンピック時の東京より相当悪い。路上にタンをはく人が上海でも多いし、トイレは一流ホテル以外入りたくない。一般レストランは香港より悪い。騒音・砂塵・スモッグは大きな問題となっているし、古いタクシー自体の存在が環境問題と言える。南京路・淮海路の最新ビルを除くと浦西(旧市街)は最悪である。私の住む浦東地区には上海最大の世紀公園があり道も広く別世界の感じがあるが、取り壊されてない建物は想像を超えて劣悪である。
これが青島・大連・審陽・哈尓濱・長春となるともっともっと恐ろしい。良く例に引くのだが、飛行場のトイレが信じられない程汚い・・・臭い。上海より更に20〜30年は遅れている。
先日、中国衛生省が都市部の化粧品店で抜き取り検査をした結果25%が「不適」とされた。神経質な日本の厚労省基準ならこの数値は50%にも達したのではないか?これだけのファンダメンタルスの中で食品加工事業を何故開こうとするのか?人民元の安さ・人件費の安さ以外の答えは有るまい。気の早い人はもう中国離れを起こし、ベトナム・ミャンマーだ。
我々の業界は悪い事に中華料理である。「本場で作るのだから良い物が出来るだろう。」という期待と理屈で、點心が中国工場より輸入されることに誰も警鐘を鳴らさなかった。
東北4省の人達は死ぬまで小籠包(江南地区)・鮮蝦餃(広東地区)を知らないのが普通である。彼等には中華點心だろうがアジフライ・ハンバーグであろうが同じ異文化なのである。これらの地方で工場労働者に、伝統的文化に裏打ちされた技術を求めることは向う見ず的行為である。中国は広いのである。「中国製だから良い中国點心である」等と詭弁を弄した人々はこんな簡単な現象を知らなかったのだろうか?有名百貨店や通販会社までが欺されて大切なお客様に粗末な點心を勧め、買った客は中国點心は美味くないと決め込んでしまう。これは不勉強なのか詐欺的商売なのか?はっきり申し上げる。あの程度の點心ならば、もっと人件費の安い東ヨーロッパやアフリカでも生産可能である。
私は都知事や神奈川県知事のように中国人を敵視するものでも蔑視するものでもない。私の妻も妹も義父・義母も上海人なのだし、弊社の次期社長は青島人であるのだから。
ただ、中国人の人件費が安いことのみを利用して自己中心的なビジネスを展開した方々を非難しているのである。比較文化論を学び、ODA業務等を通し海外から物を見る習慣を持つ身は、日本人の利己主義が絶対許せないだけである。
若し、中国産點心を買いたいのなら、最低でも広東省に行って欲しい。しかしその前に、広州や深_で食品市場に行ってみると良い。それからでも、彼等に製造を依頼できるだろうか?あの市場はSARSの元凶と言われても仕方ない。食品衛生諸法等全く存在してないのだ。勿論、超一流のホテルやレストランでは立派なものを出して呉れるのだが・・・。買春騒動のあった珠海は景色の美しい町である。しかし裏街を歩いて見て欲しい。月収5,000円以下の人々が溢れているのだ。彼らは向う30〜40年は小ザッパリとした生活は出来まい。
勿論、私達日本人関係者も反省せねばならない。先日、中華料理を絶対食べないという一本気な男がいた。彼は学生時代に中華レストランでアルバイトをし、汚なさに人生感を変えられたと言っていた。
高熱で調理する中華料理の場合、殆んどの大腸菌は死んでしまうだろう。でも捨てるべき材料を使ったり、お銭を数えた手でナベを振ったりしてはいないだろうか?
現在、食品製造を業いとしている私達は極めて高次元の衛生環境を求められ努力しているが、レストランの現場の方々との不公平さを強く感じている。各レストランに於ける衛生概念の乏しさが、不良輸入點心を受け入れてしまった土壌だと考えるのだ。皆さん!!日本製は良いですヨ!!何より安全だし、ウマイ。少し位い高くても、少し位い利益が薄くても良いじゃないですか?今、日本はいくら不景気と言っても、銭がなくて餓死する人はいない。不味くても口に入るものなら食べて生き長らえなければという社会ではないのです。惑る程度の料金を支払い、嘘やマヤカシのない食事をしようではありませんか?
料理人の皆様は、店で出す全ての料理の味に責任を持つ覚悟をして戴きたい。「どうせ點心は仕入れ係が決めたのサ!!」ではいけません。客の立場からは料理も點心も、全て貴方が調理したものです。貴方の感性で「これならオレの料理と同等以上のレベルである」と言い切り、胸を張れる點心を選んで戴きたい。
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